Unfortunated odaiji

僕の残念はみんなの微笑み。生活にちょっとした「クスッ」を。

その男、凶につき。


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人間、思わぬところで試されることがあるもんだ。そう、試練は突然やってくる。

この日の僕にも、いきなりそのときがやってきたのですよ。


お友だちと浅草散策をしていたある日。

結構久しぶりの浅草は楽しくってね。東京に住んでいると東京の観光をしなくなりがちだけれど、ひさしぶりに訪れた雷門・仲見世・花やしきなんてのはいい風情を見せてるもんです。

遠くへ行かなくても十分観光気分を楽しめるもんだなーなんてふわふわしながら練り歩いてみましたよ。



まあ、お寺だから。



お寺らしいいろんなものがあるわけですよ。

手水鉢とか(柄杓無かったけど)。
頭に煙をかけると頭が良くなる、なんて子供の頃に教わった線香差し場とか(煙でてなかったけど)。
本殿とか(閉まってたけど)。

見所が見られなくて残念だったけれど、いやいやこういうのは雰囲気を味わえればいいからさ。


と、そこにおわしましたのが大きな七味唐辛子の缶のような銀色の筒。世間の人はどうやらそれを「おみくじ」と呼んでいるらしいよ。

浅草寺のそれは、缶をがしゃがしゃと振って中にある棒を一本出し、その棒に書かれている数字を確認するのね。で、缶の近くにある引き出しから該当する番号の中にある紙を取り出す、という仕組みのものだったよ。


友だちがニヤニヤしながら僕に語りかける。

「奥野君、チミは最近、残念をテーマにしたブログを書いているそうじゃないか。そんなもん書いているということは、おみくじで凶を引くぐらい朝飯前なのではないかね?」

「応」

そのくらいの引きがなければ残念ブログなど立ち上げてなどいない。残念オリンピック準優勝を舐めるなよ。


ガラガラガラガラ


ジャジャジャッ。シュッ。


棒にかかれている数字の引き出しを早速あけ、紙を取り出した。


来たぜ…。ぬるりと…。

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凶!


一緒にいた友だち4人も引いていたけど、凶はいなかった。僕だけが引く圧倒的凶。神様ありがとうございます。




さっすが奥野さん、持ってるね!
なんて言われている我々の眼に、先ほど引いたおみくじとは少しはずれた場所のおみくじが目に飛び込んできた。


「奥野君、チミが本物の残念なら、もう一回引いてみたまえよ」。


思えばそれは、その友人が僕をハッピーエンドで終わらせてくれるための気遣いだったのだろう。さすがに二回連続の凶なんて、そうそう引けるもんじゃない。



ガラガラガラガラ

缶のシェイクも微妙な気持ちだ。
凶を引けばよいのか、引かずともよいのか。いや、引けなかったときにみんなは安堵するのか、やっぱり残念がるのか。

吉を引いたときの言い訳を考えながらくじを引いた。

ジャジャジャッ。シュッ。

引き出しから取り出す。


…。


すべての心配は杞憂だった。


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凶!凶!
貫禄の凶!
圧巻の凶!
天下分け目の凶!

みんな涙を流さんばかりに笑い転げてやがる。


なんかもうね、待ち人は来ないし病は治らないし旅行しちゃだめだし。
出世しないし勉学は不調だし。


いやなに、おみくじなんて所詮印刷物だよ。
俺の人生にまったく関係ないよ。
こんなの無くてもおれは幸せだよ。




とうちゃん、なんで俺の名前、大吉にしなかったんだよ。