Unfortunated odaiji

僕の残念はみんなの微笑み。生活にちょっとした「クスッ」を。

そ、そんなに安い男じゃないんだからねっ!


スポンサードリンク

午前10時から午後1時までのセミナーに参加するので、9時に会場の最寄り駅へ。そして近くでカフェに入り軽食を食べながら目の覚めるような濃いエスプレッソコーヒーを飲もうと思った。

 

いや、目の覚めるような濃いエスプレッソコーヒーって格好良いから書いてみたかっただけですごめんなさい。

 

・・・残念なことにその駅前で、濃ゆいエスプレッソコーヒーを飲めそうなカフェが無かった。正確に言うと開店していなかったんだよ。

エスプレッソコーヒーが似合う僕に与えられた選択肢はコンビニでおにぎりを買ってどこかでガツガツ食べるか、吉野家に行くか、だったんだわね。

 お洒落で高級志向な僕が選ぶのは、もちろん吉野家だ。先日食べた吉野家の鰻重が気に入っているのが理由であることには間違いない。

 

10時前の入店だと吉野家は朝定食が選べる。ちょっと前までは焼き魚とか納豆とかそんな定食もあったけれど、最近は豆腐ぶっかけご飯だとか、鶏そぼろだとかの定食も食べられる。なんと290円くらい(並)。

 

でもね。

 

エスプレッソコーヒーを飲みたいくらいセレブな心持ちだった僕の心にはそれらの定食は響かない。朝定食の欄を横目に僕が店員に注文したのは、

鰻重 二枚盛 セット(味噌汁・お新香付)1,220円という代物だ。

 

以前三枚盛セット1,720円を食べたことがあるが、このときにはウナギの身が少し余った気がする。二枚でちょうどいいだろうという深い洞察があっての選択だ。僕の選択に間違いはない。

 

日曜日の午前9時台。12席くらいあるカウンターはほぼ埋まり、僕を含めて3名が着丼していない状態だった。その3人では僕が最初に頼んでいたと思う。

 

しかし、鰻重はおそらく頼んでから調理(あたため)が発生するのだろう。あっという間に出てくる牛丼とは訳が違う。待ってる間に隣に座ったOLさんが頼んだ牛丼並・味噌汁はあっという間に提供され、OLさん、ガツガツ食べてる。時間ないんだな。

 

そして暫くしてお店の人から待ちわびた一言。

 

「お待たせいたしましたー♪」

 

お、ちょっと可愛いお姉さんじゃないの。これはウナギも美味しいに決まっているわ。

頂きまーす。

 

 

 

 

 

 

 

 

お、このウナギはホロホロというかぽろぽろでなんか出汁がきいている感じじゃないの。そしてなんでお重でなくってどんぶりで出てきているんだろう。

 

美味しいけどあんまりウナギの味がしないよね・・・。これ鶏そぼろだよね!

ってこれ、鶏そぼろ飯やないかーい!!俺が頼んだのは1,220円。アンタみたいな290円物とはわけが違うんだからねっ!

 

 

心の中ではノリ突っ込みを見せたけれど、実際は食べる前にきっぱりとお姉さんにはねつけてやりましたよ。

 

「こ、こここここれ、うなじゅううううではないみたいならんちゃなsぺlkるあぽsぢうf」

 

カウンターで食べているほかのお客さんに、なぜか「鰻重」と聞こえるのが恥ずかしいと思っている自意識過剰な44歳。静かと自意識の狭間でたゆたうおっさん心は誰にも理解されまい。

 

お店の人も「あ、これはあっちのお客さんのだ」というのがすぐ分かったらしく、その鶏そぼろ飯はすぐ僕の手から離れ、いったん下げられた後に別のお客さんの元へドナドナされていきました。

 

ドナドナって。

 

そして数十秒後に出てきた愛しき僕の鰻重。美味しいよ。たれが甘辛いよ。こいつは朝から元気が出るよ!

おいしい。ぱくぱく。もぐもぐ。

 

ウナギのたれの甘辛さとお新香や味噌汁のしょっぱさがステキなコントラストを見せて、僕の舌を満足させてくれます。エスプレッソの苦みはなかったけれど、山椒の辛みで満足した僕の舌と脳はいい加減なもんだと思いながら。

 

「ごちそうさま」

「ごちそうさま」

 

僕が言うと同時に「ごちそうさま」といったその男は、僕が注文してからずっと後にはいってきたおっさん客。どうやらおなじく鰻重を食べ終えていたみたい。

なんで同じタイミングで提供されているのよ!俺の方がずっと早く入店してたでしょ!

 

すごすごと退店。