Unfortunated odaiji

僕の残念はみんなの微笑み。生活にちょっとした「クスッ」を。

2倍


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100円玉が欲しかった。どうしてもだ。懐には500円玉とお札しかなかった。

 

その、100円玉を使うところには両替機がない。なんだよーと思うが、近くにあるのは缶飲料の自動販売機。おあつらえ向きというか、ふつうは120円、130円するような缶コーヒーが100円で売っていたりする。

 

100円の手数料を取って缶コーヒーと400円分の両替をしてくれるのか。うまい商売考えやがって。

 

 

まあでも缶コーヒー単体で考えれば30円ほどお得だ。やむをえん。購入する。

 

チャリン。

 

ピッ

 

ガシャッ。

 

カチャン

カチャン

カチャン

カチャン

カチャン

カチャン

カチャン

カチャン

 

……。

 

ん?

 

「カチャン」多くない?僕が期待したカチャン数は4回。でも現実は8。

 

まさか……。

 

真っ白い自動販売機のお釣りのところはオレンジ色のプラスチックになっており、プラスチックのカーテンがある。カーテンをおしあけてお釣りの小銭を握りしめてみる。

 

ずしっ。

 

親指で盲牌。真ん中に穴がある硬貨。そう。みんな知っている50円玉だ。

 

8枚の50円玉を握りしめて立ち尽くす。あああ、これじゃないいいいい。自動販売機としては与えられたタスクをこなした。500円玉を受け入れて100円分の缶コーヒーを提供し、400円分のお釣りを支払った。何も間違いはない。

 

ただ、100円玉を欲する僕が100円玉でお釣りが来ることを期待して買い物をしただけなんだ。

そして、その期待が綺麗さっぱり見事に裏切られただけなんだ。誰も悪くないんだよ、僕の運以外は。

4枚の100円玉のつもりが8枚の50円玉。枚数は倍だがそこには何の意味もない。

 

100円玉が欲しい。どうしてもだ。懐には50円玉とお札しかない。